断熱材を知ろう!【セルロースファイバー】
断熱材を知ろう!今回の断熱材は繊維系の断熱材の中でもリサイクルから生まれた断熱材である「セルロースファイバー」を調査してきました。
セルロースファイバーは日本の住宅では、なかなか馴染みのない断熱材ですが、セルロースファイバー発祥の国のアメリカでは断熱材におけるセルロースファイバーのシェアは35%をこえているのです。
セルロースファイバーってどんな断熱材?
セルロースファイバーの原料は、「新聞紙」「段ボール」「木材チップ」などで、この原料に「ホウ酸」を混ぜて作ります。
この木質繊維を裁断、攪拌して空気を含ませることで断熱性能を発揮します。
自然素材由来の断熱材です。
セルロースファイバーの性能は??
1:断熱性能
セルロースファイバーは繊維を攪拌することで、ふんわりとした素材として加工されています。
そのため繊維が複雑に絡みあい空気層を形成しています。
この材料を壁や天井に吹込み施行をすることで高い断熱性能を発揮します。
熱貫流率に関しても吹込み用セルロースファイバー45kを壁に施行した場合に、「0.40[W/(m・K)]」のU値を測定しています。
2:防火性能
セルロールファイバーは製造段階で「ホウ酸」を添加しているのですが、全体の約22%がホウ酸(ホウ素系薬剤)が含有しています。
ホウ酸は、燃焼しづらいという特徴を持っており、たとえ燃焼してしまっても炭化することで延焼を防いでくれるのです。
このような性能が評価され「準不燃材料」※に認定されています。
※準不燃材料(じゅんふねんざいりょう)とは、建築物の材料のうち、建築基準法施行令第1条の五で定める技術的基準に適合する不燃性を持つ材料を指す。
一般には木毛セメント板、石膏ボード、セルロースファイバーなどの材料が準不燃材料に含まれる。
ホウ酸に関しては、ホウ酸団子ご存じありませんか?
ゴキブリの駆除に使うものですが、人体に悪影響がないことは広く知られています。
3:湿度の調整性能
湿度の調整性能!!住宅にとっての最大の敵は「結露」なのは皆さん周知の事実かと思います。
セルロースファイバーは調湿に関しても高い性能を発揮します。
セルロースファイバーの原料は何だったか振り返ってみると「新聞紙」「段ボール」「木材チップ」つまり大本をたどっていくと「木」を原料としています。
木には湿気を吸い取ったり、吐き出したりできるわけです。
壁の内側にある柱やセルロースファイバーが呼吸をするように自然に調湿をしてれることで、天敵である「結露」を防いでくれます。
4:防虫性能
住宅の害虫被害⇒シロアリ(防蟻)性能に関してもセルロースファイバーは高い性能を発揮します。
シロアリが大好きな環境を考えてみましょう。
シロアリが好む環境は、食料となる木材や紙類が豊富にあり、温度が10度以上で、湿度が高い環境を好みます。
つまり、住宅は彼らにとって最適な環境なわけです。
ホウ酸はシロアリにとって高い毒性があり、ホウ酸をたべたシロアリは巣に持ち帰ることで巣にいるシロアリにも効果を発揮します。
5:防音効果
セルロースファイバーの施工は、吹込み施行で行われます。
そのため柱と柱の間にしっかりと敷き詰められます。
セルロースファイバーの繊維は複雑に絡み合っていますので、ぎっしり詰まったセルロースファイバーに届いた音はその繊維の空気層で吸音されるわけです。
ただし、いい面ばかりでもありません。
デメリットも調査してみました。
セルロースファイバーのデメリット
1:コスト
まず、コストが割高です。
グラスウールで施工した場合とセルロースファイバーで施工した場合、セルロースファイバーはグラスウールのおよそ3倍の量を使用します。
単純計算でコストが3倍になるわけです。
材料だけでなく、施工もとても手間がかかります。
施行箇所ごとにシートを貼り専用の機会を使い充填を行っていきます。
専門性が必要なため施行コストも割高です。
2:工期
セルロースファイバーの施工は施行箇所にシートを貼って充填の繰り返しを行っていくわけですから、グラスウールなどより施工に時間を要します。
また、施工をしている際には、他の作業がやりずらいため工事を並行して行って置くことが難しいようです。
そのため、工期が長くなってしまうことがあります。
3:壁の中での沈下
セルロースファイバーはグラスウールと比べるとおよそ3倍の重量があるといわれています。
そのため、施工の際にギシギシに施行をしなかった場合には経年に伴い壁の中で沈下していくことが知られています。
この沈下に関しては施工の精度で対応が可能なので、確かな技術を持つ施工業者に施行をしてもらいましょう。
まとめ
セルロースファイバーは、自然素材を由来とした高い性能を持つ断熱材だということがわかりました。
これまでの断熱材と同様ですが、施行の精度がとても大切とも今回の調査で感じました。
コスト面など、ご自身のこだわりや依頼される工務店・ビルダーさんの施行実績などしっかり見極めることで、高断熱の住宅で快適な生活を実現できるのではないでしょうか。
皆さんが実現する注文住宅において参考になれば幸いです。
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