経済産業省が1月20日に、真空ガラス(断熱性に優れる窓ガラス)に関する JIS 制定を発表しました。
この真空ガラスは住宅にとって「断熱性能」の面で大きな建材となりますので、経済産業省がリリースした文書ご案内します。
住宅やビルの省エネルギーの鍵は「断熱性」です。真空ガラスは、窓の断熱性を大きく高める製品です。窓ガラスとしての製品化は、我が国が世界で最初に行いました。この真空ガラスは、これまで国際規格によって、断熱性や耐久性を評価することで、市場を拡大していましたが、詳細な JIS を制定しました。この JIS の制定によって、省エネルギーを推進しながら、夏は涼しく、冬は暖かく部屋を保つことのできる快適・健康な生活が期待できます。
1.JIS 制定の背景・目的
建物内部を快適な温度に保つため、壁には断熱材が使用されていますが、窓ガラスの中には断熱材を入れることはできず熱を容易に通してしまうので、いろいろな断熱性に優れる窓ガラスが開発・製品化されてきました。
真空ガラスは、2枚のガラス板に挟まれた空間を真空状態に減圧することで熱を遮断しますので、究極の断熱性能をもつガラスとも呼ばれています。これが普及すれば窓ガラスの断熱性を高めることによって、建物内を快適な温度に保つことに大きく貢献できます。急激な温度差が引き起こすと言われている、ヒートショックの回避にもつながります。
このような優れた性能を持つ真空ガラスが、世界中で普及することを目的として、国際規格である ISO 19916-1 を 2018 年に開発しました。
この国際規格は、真空ガラスに求められる性能(例えば、断熱性及びその耐候性)を、その設計時の性能評価確認として実際の試験で確認するようなことを主目的とした内容となっています。一方で、我が国の省エネ・住宅市場向けに広く普及していくためには、それぞれの顧客ニーズに合わせて、製造される真空ガラスが、満足のいく品質で数多く製造されることが確保される必要があります。また、こうした優れた真空ガラスが長期間使えるようにすることも必要です。
そのため、断熱性、減圧の状態、耐候性などについて、その品質を確保するための試験・検査方法を、より詳細に盛り込んで、日本産業規格である JIS R 3225 を制定しました。
2、制定する JIS の主なポイント
① 断熱性
断熱性を表す指標である熱貫流率を、JIS R 3107 で規定される算定方法を引用して求めることとしました。加えて、真空ガラスの熱貫流率を、対応国際規格による試験方法で実際に測定し、測定値が算出値と乖離していないことを確認することとなります。断熱性の区分については、複層ガラスに関する国内規格(JIS R 3209)の最高水準である熱貫流率 1.1 W/m2K 以下より、さらに高い断熱水準の 0.7 W/m2K 以下を設定しました。
② 減圧の状態
製品の抜き取り検査(受渡検査)として実施する試験方法について、減圧度の試験方法を新たに開発しました。この試験方法により、真空ガラスの2枚のガラスに挟まれた空間が十分に減圧されていることを確認することとなります。
③ 耐候性
耐候性を調べる加速試験として、対応国際規格による試験方法をそのまま採用し、加速試験前後の熱貫流率変化が小さいことを確認することとなります。
3、JIS 制定の期待効果
この JIS の制定によって、①真空ガラスの性能が信頼あるものとして消費者に伝わること、②製造者側も分かりやすい形で一定の性能を維持できること、につながります。真空ガラスを選ぶ際の基礎として、この JIS を利用いただくことで、真空ガラスの市場での信頼と拡大を達成し、部屋の温度の最適化を、省エネルギーで実現することが期待できます。
※日本産業標準調査会(JISC)の HP(https://www.jisc.go.jp/)から「R3225」で JIS 検索すると本文を閲覧できます。
まとめ
断熱性能に重要な窓のJIS規格制定に関して、経済産業省発表の文書をご紹介しました。今後プラン作りの際にJIS規格の窓の採用を検討してみては以下かでしょうか。